コラム
単位制高校とは?学年制との違いやメリット、どんな人に向いているのかを解説

「単位制」や「単位制高校」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「単位を取るのって大学だけじゃないの?」「他の高校と何が違うの?」と思う方も多いかもしれません。今回のコラムでは、単位制高校について簡単に説明した上で、単位制高校で学ぶメリットもご紹介します。
目次
単位制高校とは?
単位制高校とは、「高校に3年間在籍し、規定数の単位を修得する」ことを条件に卒業できる「単位制」を設けた高校のことです。通信制高校の他、一部の全日制高校や定時制高校で導入されています。
この条件では一見、「3年間で単位を取って卒業するのはどこも同じではないか?」と思うかもしれませんが、大きな違いがあります。それは、単位制の高校は1年生、2年生、3年生といった学年で区切られていないことです。
文部科学省による学校教育法では、高校卒業資格を得るための条件の一つに「必須科目を含む74単位以上の取得」を定めています。こちらはどの制度の高校も変わりません。しかし単位制高校では学年という形をとらないため、「学年ごとに得るべき単位」が決まっていないのです。「科目ごとに決められた単位」を、卒業までに修得すればよいのです。そのため単位制高校の生徒は、3年以上かけて卒業する人も珍しくありません。
単位制高校と学年制高校の違い
一般的な高校のイメージでもある、3年生まで進級を続けて卒業するというシステムの高校は「学年制高校」といいます。こちらは1年生、2年生、3年生それぞれで修得すべき単位が決められており、その単位を得ることで進級し、3年生の単位を修得すれば卒業します。
一方通信制高校には、科目ごとに決められた単位はありますが、学年という区切りがありません。そのため、3年以上の在籍期間の中で修得すれば大丈夫です。「1年生でこの単位を取らなければ2年生へ進級できない」といったこともありません。
単位制高校の4つのメリット
単位制高校で学ぶことで、いったいどんなことが叶うのでしょうか。ここでは、大きく分けて4つのメリットをご紹介します。
焦らずじっくり学べる
単位制高校では学年が設けられておらず、1年ごとに修得すべき単位もありません。そのため、3年またはそれ以上の期間をかけてじっくり学ぶことができます。「わからないところがあるまま進級したくない」「将来に向けてしっかりと教養をつけたい」という人にはぴったりです。また健康面に自信がなく、体調を見ながら勉強したい人にとっても、焦らずに学びやすい環境ではないでしょうか。
しかし、一般的な高校生のように「18歳で卒業して進学(就職)したい」という人は、最短の3年間で卒業する必要があります。学年で区切られず、「必ず3年間で卒業する」という風潮も薄い単位制高校のこのシステムを、デメリットに感じる人もいるでしょう。
他のことと両立しやすい
単位制高校は、勉強の他にも打ち込むことがある人にもおすすめです。
例えば、将来の夢に向けて取り組んでいる人。「スポーツ選手になるため、日々の練習が欠かせない」「俳優を目指しているため、稽古に力を入れたい」といった人が挙げられます。
また特に通信制高校では、社会人として仕事をしながら通う人も珍しくありません。本業の仕事やアルバイトをこなしながら、空き時間で学習を進めることができます。通信制高校は自宅学習がメインのところが多く、スクーリング(対面授業)は短期集中でできるコースや学校もたくさんあるため、仕事と両立しながら高校卒業を目指せます。
自分の関心に合わせて学べる
多くの単位制高校では、自分でカリキュラムを調整できます。例えば「英語を使った仕事がしたい」という人は、英語授業を多めにしたカリキュラムを組むことができます。また「文系よりも数学や理科を深く勉強したい」という人は理系科目を増やすことも可能です。
また近年は、特徴的な科目を設ける単位制高校も増えてきました。例えば、マンガやイラストなどの芸術分野を学べる科目や、eスポーツを含めたスポーツに力を入れるコースなどです。
もちろん必修科目があるため、全て好きな科目で単位を得るということは難しいかもしれません。しかし「将来の夢に少しでも早く近づきたい」「もっと楽しく学びたい」といった人は、その希望に合わせて勉強できそうです。
転入・編入しやすい
別の高校へ移ることを「転入」、退学した後にもう一度高校へ入ることを「転入」といいます。単位制の高校は、転入や編入にも向いています。
というのも、単位制高校では、前に在籍していた高校での単位も合算できるのです。全日制高校へ転入・編入した場合、以前の高校で修得した単位は、残念ながらリセットされてしまいます。しかし単位制高校に入れば、それまで得た単位も計算に入れられるため、転入・編入後1~2年で卒業する人もいます。
単位制高校でも留年の心配はある?
先ほどお伝えした通り、学年で区切られない単位制高校では、学年ごとに修得すべき単位は決まっていません。そのため、「留年」という概念はないのです。
しかしだからといって、卒業までに必要な単位の数は変わりません。単位を気にせず、あまりのんびりと学習してしまっては、卒業が難しくなります。3年間で卒業する必要はありませんが、卒業まで時間がかかった分だけ、進学や就職が遅くなります。すでに仕事をしている人も、両立する期間が長くなってしまいます。
そのため、単位は計画的に修得することをおすすめします。なお、通信制高校では自宅での自習の他にもやることがあります。スクーリングの出席やレポートの提出をこなした上で、テスト(単位認定試験)で合格することで単位を得られます。日々コツコツと学習を進め、スムーズに卒業できるようにしましょう。
単位制高校が向いている人とは?
単位制高校に向いているのはどんな人か、もう一度挙げてみます。
単位制高校は学年ごとで必要な単位はなく、自分でカリキュラムを調整することが可能です。また自分の興味・関心に寄せた学習もできます。そのため、以下のような人たちにぴったりでしょう。
■じっくりと理解しながら勉強したい人
■将来就きたい仕事に向けて効率的に学びたい人
■スポーツや芸能活動に力を入れたい人
■本業の仕事と両立しながら高校卒業資格を得たい社会人
■体調などを考慮しながらゆっくりと学びたい人
また、転入・編入前の高校の単位と合算することも可能です。そのため、以下のような人たちにもおすすめです。
■校風が合わない、人間関係に悩んでいるなどの理由で、別の高校へ転入したい人
■高校を退学したため、改めて編入して高校卒業を目指したい人
もちろん単位制と学年制はシステムが異なるだけで、高校卒業資格に違いはありません。だからこそ、このような人々が焦らずに高卒資格を得られる環境と言えるでしょう。
通信制高校なら、開志創造高等学校
開志創造高校は、4つの大学、34つの専門学校、2つの高校のノウハウと約50年の教育実績をベースにした広域通信制高校です。
教育理念「開志・自律・創造」のもと、自ら問題を発見・解決し、新たな視点・価値を創造できる人材の育成を目指し、職業探求専攻、高校・大学連携専攻、アニメ・マンガ専攻、eスポーツ専攻、アスリート専攻など、8つの専攻を展開しております。
また、高校生活に関する相談はスクールカウンセラーが、学び・進路に関する相談は担任、職員しっかりとサポートする体制により、進路未決定率0%を実現します。
まとめ
単位制高校の特徴は、学年が設けられておらず、学年ごとで必要とされる単位もないことです。もちろん計画的に単位を修得していくことは大切ですが、なるべく自分のペースで勉強できることが大きなメリットと言えるでしょう。
単位制は、一部の全日制高校や定時制高校にも導入されていますが、一般的には通信制高校に設けられています。通信制高校では自宅学習の時間も多いため、より自分らしく学ぶことができるでしょう。ぜひ検討してみてください。